きえんどうという旅 1.Calling

1.Calling「天命」

物語の始まりです。主人公は、きっかけは、さまざまですが、人のとの出会いや、不運な事故、また、自分のなかで聞こえてくる内なる声などきっかけに、これから始まる旅のミッション(生きる意味や役割、使命)を見つけます。

最初に与えられた空の工場が、私の旅のスタート地点。

「この場所を何とかしなくてはいけない」と

ドアを開けた先の工場は、いつも時が止っていた。

動いていない空気は澱み、

西日に照らされた床に落ち葉がたまっている。

焦燥感だけが膨らみ、

何もできない自分に呆れてがっかりする。

そんなことを何度も繰り返し、いつしかドアを開けることもなくなり、

やがては胃の奥の深いところに

消化しきれないストレスが溜まっていった。

状況が変わったのは、突然だった。

まるで導かれるように縁が縁を呼び、

「きえんどう」が形作られていった。

「きえんどう」が生まれたときのことは、よく覚えている。

合わなかったピースが見つかったような、

喉につかえていた小骨が取れたかのような、

いいこと考えた!と声を張り上げて得意がる

子供のような気持ちになった。

「どうせやるのならば、役に立つ場所にしたい」

という想いが私の最初の種だった。

どんなものを売るか・・・ということよりも

どんな場所にしたいかということしか考えていなかった。

この先に待っているのは、キラキラした未来に違いない。

そんな気持ちで、新しい旅へつながる扉を開いた。

※作画:chicaco